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ルーキーリーグで#2

もう一つ、ルーキーリーグでのエピソードです。いかにもアメリカのベースボールらしいと思いました。


僕は、2度目の渡米では、日本のパリーグで審判を9年間経験した後だったので、日本のトップクラスで審判した直後ということで、ルーキーリーグでは、そのストライクゾーンに慣れるのに僕自身がすごく苦労していました。世界一きっちりとしたストライクゾーンから、プロでは、世界一ゾーンの広いところにきたからです。


日本では、ルールブック通り、ホームベースにかからなかった投球は、ボールとコールしていました。しかし、このルーキーリーグでは、どう考えてもだいぶ外側に外れている投球をみんながみんなストライクとコールしていて、打者の反応もそれほどのものでなかったのでした。


そんなある日、自分のストライクゾーンが皆より狭い(俗にいうからいということでしょうか・・・。)と感じながら、なかなか修正が出来ずに葛藤していた頃なのですが、球審をしていた時で、あるイニングの合間に、ベンチで水を飲んでいると、バッティングコーチが自分の横に来て、やんわりとこう言いました。


「どうしてタケシは、アウトサイドの投球をストライクとコールしないの?」と。僕は、どうしてボールと攻撃側に有利なコールが多い自分に、ストライクをコールしないのかといわれるのかよくわかりませんでした。僕は、「え、そちらのチームに有利な判定なのにどうして?」と聞きました。コーチが応えてくれました。『君がアウトコースをボールにコールすると、うちのバッターは、外側の投球を打っていかなくなるんだよ。ここ(ルーキーリーグ)では、将来の打てるメジャー打者を育てるところなんだから、もっとアウトコースの投球をストライクとコールしてね。』


言葉を失いました。アメリカでは、一般的にアウトコースのゾーンが日本より広いのです。それは、みんながそれを望んでいたのです。守備側も攻撃側もファンもみんなそれを望んでいるのです。打者が積極的に打っていくベースボールを皆が期待しているのです。


逆にインコースは狭いです。なぜかというとインコースをストライクとコールしていくと、投手がインコースを中心に攻めてきます。そうなると自然と打者に当たる割合が増えてしまうので、ベースボールがつまらなくなるのです。このような理由で、アメリカではアウトコースに広く、インコースに狭いストライクゾーンになっているのです。


何年か前に日本でアメリカのボールのような統一球が導入された年に、ホームランが激減したことを覚えていますか?その理由に、統一球が飛ばないボールになったからということと、もう一つは、審判のストライクゾーンが広くなったからと言われていました。きっとそうだったのでしょう。


でも、今年はホームランがかなり増えているようです。これは、打者が広くなったゾーンに対応し、積極的に打ちにいくようになったからだと思います。一見、ゾーンが広くなるとピッチャー有利のように感じますが、実は打者の打ち方が変わっていき、最終的には、バッターに有利に働くようになるのです。


打撃優先のベースボールには、こんな理由があったのです。

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